嫁いだ娘さんの気持ちを思いやる全面リフォーム

以前に、鉄筋コンクリート住宅にひとりお住いの奥様から全面リフォームのご依頼があり、
初めて、家を訪問した時に、ご要望やお悩み、普段の生活、ご趣味などをお聞きしていました。
そして、リフォームのキッカケを聞いてみると、最近、遠くに、お嫁さんに行かれた娘さんが、
「自分が出て行ったあと、お母さんが一人になるので心配だ」
と言われたことだと言います。
つまり、出て行った娘さんに、心配させないように
間取りは替える事は出来ないから、せめて、段差をなくして全部をキレイにしたいとのこと。

しかし、間取り変更は本当に出来ないのだろうか？
段差がなくして、キレイになると娘さんは心配しなくなるのだろうか？
そして、実際に調査してみると、
１階まわりのリビング付近の間仕切り壁は、構造体であるコンクリートでなく木軸で作られている事が、すぐにわかりました。
さらに、お母さんのご趣味は、近所の友達とトレッキングという山登りでした。
そして、返ってきてからのワインとおしゃべりが楽しいとのこと。

それなら、せまい居間を、使っていないお部屋と合体して、広いリビングにしましょうか、
そして、ワインを並べて置ける飾り棚などを付けられてはどうか。
そもそも間取り変更が出来ないと言われていたのは、
娘さんが漠然と壁はとってはいけないと思っていたからとのことでした。
ということで、お母さんのリフォームが娘さんの心配をなくすためのバリアフリー工事だけでなく
お母さんの趣味がより楽しみになるようなリフォームも兼ねた提案をしました。
もちろん、その分ご予算も増えてしまうので、
今後はあまり使わないと言われていた２階部分は、簡潔にキレイにするだけで良いとのことで
なんとか、ご予算に近づけて工事をすることになりました。

その時、お母さんは
「今度、娘が来るときはその近所の奥さんも呼んで、一緒にワインでも飲もう」
楽しそうに言われたのを聞いて、
もしかしたら、娘さんの心配の意味は、これからのお母さんの一人暮らしにあるのではないかという気がしました。
しかし、最初にご要望された、間取りも替えずに、バリアフリーだけの工事をしていたら
娘さんの心配は半分くらいしか解消しなかったのではないかという気がします。

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