リフォームコンパス

古民家における段差の話

古民家のリフォームを検討するときに、必ずと言って良いほど直面する問題があります。
それは、「高さ」に関する問題です。

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古民家は築50年以上経過しているケースが多く、そもそもの生活様式が現在と異なる造りになっています。
もっともてき面に現れているのが段差です。
まず、建物の入口には大きく重い引き戸が高い敷居と共に設けられています。
(もちろん様々な間取りがありますので、一般的にという意味でご覧ください。)
そして広い土間から座敷に対して、かなり大きな段差があります。
一息に上れなかったりするので、沓脱石(くつぬぎいし)といった、踏み台にする大きな石が置かれていたりします。

また、玄関から奥に向かっては、そのまま土間が伸びていて、お勝手へと通じています。
昔であればここに竈(かまど)が設けられ、炊事はそこで行われていました。
井戸なども用意されていることもあり、生活や家事の重要な場所になっていたのです。

ところが、現在の生活スタイルは、ここ数十年の間に一変してしまいました。
竈が家の中に設けられていることはほとんどなくなり、
そのうち自然とそこに床組みをして、昔のリフォームで台所や水まわりが造られたりしているのです。

そして、多くの場合、段差の問題は解消されないまま残されています。
元々土間だった炊事場と座敷との間には大きな段差が残り、高齢になった住人の日常生活を妨げているのです。
段差を直せば良いじゃないか、と思われるかもしれませんが、
一般の木造住宅とは比較にならないほどの、簡単に処理できない高さの違いがあったりするのです。

また、床組みをリフォームして他と同じ高さに調整しようとしても、
差鴨いが邪魔して下をくぐれないようになってしまったりするような場合も、決して少なくはないのです。

問題は、古民家再生を考えようとしたときに、
リフォーム会社やその担当者が、そういったことを十分に理解しているかというところなのです。

リフォームの場合には、多くのケースで図面が平面図という図面のみで計画されます。
ですから、設計をする人がその高さを把握せずに計画をしてしまうと、
いくら良さそうに見えるプランであっても、実際には通行ができない廊下があったり、
部屋の真ん中に目線ほどの低さの梁が出てきてしまったり・・・なんていうことになりかねないのです。

「リフォームだから、やってみないと分からない」リフォーム業者はよくそういうことを言います。
もちろん、何もないところに新しく設計した建物を建てる訳ではなく、
昔の知らない大工さんが建てた建物を触っていく訳ですから、これもあながち否定はできませんが、
既存の建物の状態を、高さの部分まで含めてしっかり調査してくれていれば防げる問題もあるのです。

特に古民家の場合にはそういう難しさがあることを前提に対応していかなければなりませんから、
会社そのものや、担当者には相応の経験と力量が求められる訳なのです。

それを知らずに、なんとなく依頼をしてしまうと、気づくのは工事が始まってからになりかねません。
それでは残念ながら、良い家ができる確率は極めて低くなってしまうことでしょう。

古民家のリフォームというのは、実は一般の木造住宅のリフォームよりも経験している業者の数は少ないものです。
古いというだけでなく、規模も大きなお宅が多くなっています。
それだけに、より実績をきちんと把握したり、より優秀な担当者と出会うことが必要不可欠となるのです。

業者を比較する前に、まず、どの業者に見積もりを依頼するべきなのか。
なんとなく業者をピックアップするよりももっと前に、
リフォームを成功させるための秘密が隠されているのです。

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