大規模リフォーム 自然素材のデメリット
近頃、自然素材を見直す動きが増えてきているように思います。
元々の自然に存在する素材を利用して家を造る。
将来的に建て替える時には、すべて自然に還っていくものですから地球にやさしいですし、
そこで暮らす家族のことを考えると、
化学物質などが使われていない、自然の素材を利用するというのは
とてもいいことなのかもしれません。
また、自然素材には独特の風合いがあり、
工業製品では出せない「味」があったりします。
これもまた好む人が増えてきているのかもしれません。
古くからの良いものの価値を見直し、改めて脚光を浴びるというのは良いことです。
ただし、もしそれが一種のブームのようなものだとしたら、
ご自身のリフォームの中に本当に取り入れるべきものなのかどうかを吟味しなければなりません。
というのも、自然素材にはメリットだけでなく、デメリットもあるからです。
例えば床材。
頻繁に使われている合板のフローリングは、表面のとても薄い板の部分だけ
本物の樹種の単板(薄く切った板)が貼られており、
その下には合板が接着剤で組み合わされています。
その代り、合板のフローリングには傷がつきにくかったり、熱に強かったり、
機能的には優れたものが増えてきています。
それに対しての自然素材という意味で考えると、無垢材のフローリングということになりますが、
自然の一枚板ということになりますから、温度や湿度の変化、木の癖などによって
反りや曲がりが出ることがあるのです。
そして熱を加えるとこの変形が加速されることから、床暖房やホットカーペットで使えないものも多くあります。
また、壁についても自然素材の漆喰や土壁・じゅらくなどの塗り壁が自然素材としては考えられますが、
物をぶつけたりしたときの補修は左官屋さんによる大掛かりなものになるケースもあり、
掃除機をかけるときにも迂闊に壁にぶつける訳にはいきません。
自然のものと付き合っていくには、住む人にもそれに応じた心構えや
変わらない考え方が必要になるのです。
現代の建築には、様々な便利な素材が利用されています。
反りの出にくい床、拭きやすかったり容易に補修のできる壁紙など
工業製品に近い精度で家を造り上げるために開発されてきたものの恩恵を受けているのです。
便利なものを排除して、完全に自然のものと付き合っていけるのか、
住む人にその価値観を問いかけるのが、自然素材に対する考え方になるのかもしれません。
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