リフォームコンパス

大規模リフォーム マンション工事と管理規約

同じ「大規模リフォーム」の中でも、マンションの全面的あるいは大規模なリフォームが多く見られるようになってきました。
全面的にやり替えをする場合は特に「リノベーション」と呼ばれることも多く、単なるお化粧直しにとどまらず、
使い勝手を良くしたり、付加価値を提案するような形のリフォームになっています。
しかし、マンションのリフォームの場合にはマンション特有の事情がありますので、知っておきましょう。

一番大きなもの、それは管理規約というものの存在です。

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マンションは最初に分譲される際に、マンションの共用部やその他全体的な管理業務を行っていくために、
管理組合というものがつくられます。
そして、マンションを管理していくための基準となるものが、管理規約と呼ばれるそれぞれのマンションの独自ルールなのです。
実はマンションは共同住宅のため、共用部分と専用部分とに大きく分けられます。
共用部分とは、構造的なものや共同で使用する部分、外観を統一させるために同じ部材を使用している部分など
区分所有者が勝手に触れない部分をいいます。
それとは逆に、所有者の意のままに仕上げや設備機器を取り替えたりしても良い部分があり、
それを専用部分と呼びます。
管理規約はこうした共用部と専用部の区別を明確にしています。
玄関ドアや設備配管のうち上下に通っている竪管と呼ばれる部分など、
実は勝手にリフォームで触ってはいけない場所がいろいろと決められています。

また、専用部分であっても、なんでも自由に素材を決めて良いという訳ではありません。
例えば、一番よく存在する規約としては、下階への音の問題から
リフォームで使用する床材に防音等級が求められていることがあります。
「防音等級LL-45のフロア材を使用すること」など、はっきりと明文化されていることが非常に多いのです。

リフォーム開始に関する手続きについても、管理組合で決められているケースは多く見られます。
事前に提出が必要な書類(工事内容・図面・工程表・使用部材のリストなど)、
他の住人に対する告知の方法、養生の範囲と規模など、
細かい部分は別としても、基本的には管理規約の中で決められているのです。

マンションの大規模リフォームとはいっても、
共用部全体を工事するようなものは、大規模リフォームではなく、「大規模修繕」という言葉がよく使われます。
こちらの方は、管理組合そのものが工事を発注することになりますので、ここでは別物と考えて下さい。
管理規約はマンションの個々の部屋の工事について、
例えば使用材料の制限や作業時間の制限、または近隣挨拶あるいは工事の同意書の捺印してもらうべき範囲など、
事細かにルールを設けているのです。

共用部じゃないから、何をやってもいいじゃないか…という考え方は成り立ちません。
自分の部屋・区画だとは言っても、例えば1部屋の構造体をそっくりそのまま抜いてしまったら、
マンション全体の強度を損なうことになりかねないからなのです。

そういう意味では、希望する工事の内容がだんだん見えてきたら、
工事業者と一緒に管理規約の内容を確認しておかなければなりません。

そして、事前の準備や工事中の汚れや傷を防止するための養生範囲、作業時間の決まりや
使用する材料の制限や手続きなど確認する必要があります。
場合によっては、計画していた工事内容を大幅に変更しなければならないことも考えられますから、
ある程度工事内容が明確になってきたら、例えば管理人や管理会社などに確認しておきましょう。

マンション独自の思いがけないルールがあることもありますので、きちんと調べて確実に対応しておきたいところです。

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