全面リフォームで気をつけたいこと
全面リフォームで気をつけたいこと
全面リフォームというのは、読んで字のごとく家全体をリフォームするということなのですが、その位置づけとしては新築とリフォームとの間にあるものの様に思われます。
それは単に金額が一般的なリフォームよりも高く、新築するよりは安い、というだけの意味合いではなく、注意すべきポイントも増えると考えておいた方が良いでしょう。
しかし、一般的には全面リフォームもリフォームの一部としてとらえられていることが多いというのが実際のところです。
もちろん、取り壊して建て直す訳ではなく、あくまでも「リフォーム」であることは当然なのですが、部分的な修繕や取り替えなどのリフォームと全面リフォームとの差は、全面リフォームと新築との差に比べて大きいというところは認識をしておく必要があるでしょう。
というのも、部分リフォームではあまり考慮しなくても良いところが、全面リフォームの場合にはしっかりと検討しなければならなかったりするからです。
大きな違いとしていくつか挙げられるのですが、まずは法律上の観点です。
修繕や部分的な取り替えの工事には、ほぼ法律で関与する項目はありません。
ところが全面リフォームの場合には、例えば間取り変更しようとする内容が、建築基準法上問題ないものかどうか判断しながら計画しなければなりませんし、増築を考える様な場合には特に、行政に対しての申請が必要になる可能性も出てきます。
構造上の判断も重要になります。
既存の建物の種類によっては、間取りを変えることが難しい場合もありますし、比較的間取り変更のしやすい木造2階建て住宅であったとしても、何も考えずに計画をしてしまうと、耐震評点が従来の建物よりも低下してしまうことすらあります。
一見きれいにリフォームができたとしても、その構造が前よりも弱くなっていたりすると、少し大きな地震などが来たときに、家は人命に関わりかねない大きなダメージを受けることになるのです。
また、デザイン面でも新築に近い要素が出てきます。
修繕・リフォームといった観点では、新しくなれば良いということが多くなりますが、家全体をリフォームする場合には、特に内部に関してはほぼ新築の様に生まれ変わることがあります。全体のイメージやデザインを加味しながら上手に提案をしてもらわなければ、素人にはなかなか想像がつかないことが多いため、そういった提案スキルもリフォーム会社には求められるでしょう。
施工に関しても部分リフォームと全面リフォームでは大きく異なります。
分かりやすい違いとしては、工事に関わる職人さんの種類と人数がかなり違っていることが挙げられます。
例えば内装のリフォームを考えると、床のフローリングを張る大工さんと壁のクロス屋さん程度で完了するのですが、間取りを変えるリフォームになるとそれに加えて電気屋さんや設備屋さん、各種設備機器のメーカーや外部の左官・塗装といった業者さんなど、非常に多くの職人さんが出入りをすることになります。
演奏の上手い奏者を集めただけでは音楽全体が評価されない様に、そこには優れた指揮者が必要となります。
つまり、全体の工程や品質を管理する工事管理者の存在が、とても重要な役割を果たすことになる訳です。
また、必然的には工事期間は長く、長期的なものになりますから、近隣に対しての十分な配慮や、住みながらの工事などの場合には、それこそ住人への配慮がなければ非常に大変な思いをすることになります。
そして、事前にはあまり意識されない、重要な違いとしては、提案力の差があります。
部分リフォームの場合には、求められた工事に応えれば、それで何ら問題はありません。
例えばトイレが古くなった場合には、最近は便器にどんな機能が付いていて、どれがお勧めなのか、予算に応じて各メーカーの商品と価格を提示してもらえれば、あまり問題はありませんし、ついでに取り替える内装のクロスの柄や床のクッションフロアの色などを決めるぐらいで、リフォーム会社も配管の位置や形状を確認さえしておけば、どの商品を勧めるべきかはすぐに分かります。
極端に言えば電器屋さんにもリフォーム工事ができる訳です。
ところが、間取りを変える様な全面リフォームの場合には、暮らし方が大きく変わるリフォームになる可能性がありますので、リフォーム会社には大規模なリフォームについての知識や経験といったノウハウがとても重要となります。
例えば住人が考えるリフォームの形が問題の解決策として妥当でなければ、違った案も提案できるぐらいの実力がなければなりません。
一方で、基礎の段階から順番に工事を進めていけばよい、新築の工事とは違って、リフォームには既存構造を的確に判断したり、家の傷み方によって工事を提案したりという技術力が必要になりますから、新築ともまた違っているのです。
つまり全面リフォームというのは、部分リフォームだけだったり、新築だけだったりという会社には対応のできないことが多いのです。
ところが工事ボリュームが大きく、受注単価の大きな全面リフォームは、各会社にとっては魅力的な案件です。
受注したいと考えるのは必然的ですから、会社のホームページなどには小さなリフォームから全面リフォームまで対応できます、と書かれていることがほとんどです。
全面リフォームを考える場合には、依頼するリフォーム会社についてしっかり実績と実力を確認しながら見きわめていくことが大切だと思います。
Kousuke Kitamura
≪大規模リフォームその他の虎の巻はこちら≫
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