「いっそ建て替えた方がいいんじゃないのか?」という疑問
全面リフォームを考えるときに、業者をどこにするか迷われるケースは多いと思いますが、
実はそれ以前に「いっそ建て替えた方がいいんじゃないのか?」という疑問を持つ方が多くいらっしゃいます。
結論からお話すると、
家の耐震性や断熱性など、現在の建築基準法に基づいて建てられた新築の住宅は、
基本的には元の家よりも性能が上回っていると考えて良いと思います。
建築基準法という法律は、大きな災害や事件が起こる度に見直され、より厳しい基準になっている法律です。
何十年も以前の基準と現行の基準とでは差があって当然ですし、
使用される金物や断熱材といった素材自体が、当時は存在すらしていなかったという事情もあります。
古い建物になればなるほど、新しく建て替えた方が良いということになるのです。
ところが、新築住宅の着工件数は消費税がらみの需要増を除けば、全体的には減少傾向にあります。
そこには、少子高齢化という人口的な問題もありますが、建て替えからリフォームへという流れも少なからず影響しているようです。
では、あえて全面リフォームを選択するケースには、どのような理由があるのでしょうか?
まず、第一にコスト面です。
新築とリフォームとの差において、建物だけの費用を比較すると、意外とリフォームも高くつくケースは見られます。
それは既存の構造体を残しながら解体をしなければならないという、人力による作業効率の問題と
建物の精度(傾きなどが出ていることがある)によっては調整しながら工事をすることで手間がかかる、などといったことがあります。
ところが、建て替えをする場合には、建物本体以外にかかる諸費用と呼ばれるものがかかることがあります。
それは地盤の状態によっては地盤改良や杭工事が必要になる場合があるというもので、調査後に判明してきます。
また、家の解体には重機が使用されることが多く、庭や塀など、外構工事と呼ばれる付帯工事が発生したりします。
さらに水道やガスなどの引き込み替えが行われることもありますので、道路を割って復旧するなど、
費用負担が生じることもあるのです。
その点、全面リフォームの場合には既存の構造などを生かすことができるケースも多く、その部分でコストを抑えることができたりもします。
次に、建て替えると家が小さくなってしまう・・・、などのケースです。
建築基準法が変わったり、古い家になると、元の家の建築時には建築基準法がそもそも存在していなかった、ということもあります。
そのような場合に、家を新築するとなると、現行の建築基準法ですべてが判断されてしまいます。
建築できる面積や高さ、隣地からの距離など、すべてが制約の中で設計される必要があります。
これが敷地の広大な場所であれば問題は少ないのですが、都心部など限られた敷地で計画するには
大きな障害となることがあります。
場合によっては、「家の建て替えそのものができない」とされる土地もあるのです。
次に、これは感覚的な問題になるのですが、
「元々の家を壊したくない」という思いをお持ちになられているケースです。
家というのはそこに家族の歴史が刻まれます。
古くから残っている家であればあるほど、その家族がその場所でずっと住み続けてきた証のような存在なのです。
その思いが強いご家族ほど、家を大事にしようとされます。つまり「何とか残したい」と思われるのです。
最後に、リフォームについての技術がここ数年大幅に進化してきているということがあります。
古い家は新築住宅に比べて性能が劣ると最初に書きましたが、
耐震性などの部分については、古い家であってもしっかりと補強していくことができるようになっています。
全体的に基礎をやり替えるようなことはなかなか難しい面もありますが、
木造であれば、骨組み部分は様々な金物を使用して強度を増していくこともできます。
全面リフォームに関する安心感が高まっていることも要因のひとつになっているのだと思われます。
いくつか、建て替えではなく全面リフォームを選択する理由を挙げてみましたが、
やはりこれらはすべて個々の事情や考え方によるものが大きいようです。
家の状態によっては、リフォームでも大幅に修正に費用がかかり、それならば建て替えをということもあり得るのです。
まずは家の調査をしてもらい、自分の家がどういう状態にあるのかを知ること。
自分たち家族が「家」に対してどのような思いをもっているのかを話し合うこと。
そして、コストをしっかり比較して検討すること。
建て替えであっても全面リフォームであっても、これらをしっかり見極めることは不可欠なのかもしれません。
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