昔ながらの古民家の住まいにおいて、玄関の存在は特別な意味があることが多いようです。
それは立派な造りになっているかどうかというだけでなく、
多くのお客様を迎えるためであったり、炊事場にそのままつながっていたり、
広い土間を通り抜けて裏口に通れるようになっていて、とても実用的な形だったのだと思います。
しかし、生活の様式は近年大きく変化をしてきました。
それに伴い、玄関と家事、あるいは作業との関連性は少なくなってきています。
むしろ、その家の大きさに見合った玄関を整えておくことが求められるようになっています。
そして古民家における広い玄関。
実は今までに古民家に住む多くのお客様の暮らしを拝見してきましたが、
立派な形で用意された玄関は実際にはあまり使われておらず、
家族はもっぱら狭い勝手口から出入りしている…という家が少なからずあるのです。
出入りの位置的な利便性ももちろんあるのですが、
玄関はお客様用にきちんとしておかなければならない、家族用は別と考える方が多いのでしょう。
では家族全員が出入りする勝手口はどうかというと、
狭い場所に下駄箱も小さかったり、あるいはそもそも靴を収納する場所がなかったりと、
家の大きさの割に不自由な使い方になっていたりします。
歴史ある、格式高い玄関はやはり大切にすべきだとは思います。
しかし、普段家族が使う勝手口に玄関用の収納を設けたり、出入りが容易なように手すりをつけたりと
少し工夫するだけで使い勝手は極端に良くなることもあります。
普段無意識に利用するところだからこそ、よく考えて準備しておく。
古民家のリフォームには、機能性と伝統を大切にする心、両方を大切にする気持ちが必要なのかもしれません。
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